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福祉分野領域に携わる者として知っておかねばならない知識確認に「 H28年度 東京都職員1類B(保健師)採用試験問題(専門)」を使った学習です。

■試験問題は公開されてるよ

東京都福祉保健局 東京都職員1類B(保健師)採用試験 試験問題及び正答
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/joho/soshiki/soumu/syokuin/oshirase/hokenshiseitou.html

平成28年度 (平成28年9月11日 第1次試験実施)

↑このうち、専門試験問題試験問題正答を使います。

■専門出題概要(番号は出題番号)

  1. オタワ憲章でのヘルスプロモーションの定義
  2. 相談援助の基礎
  3. 保健師による地域診断
  4. アルコール健康障害対策基本法
  5. 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(H.28)
  6. 国の難病対策の主な流れ(歴史)
  7. 「予防接種法」改正(H.25)
  8. 「労働安全衛生法」改正(H.26)
  9. 健康危機管理
  10. 相談援助
  11. 人口動態統計
  12. 発達障害者支援センター
  13. 都民向けの啓発活動
  14. 災害ストレス
  15. 相談援助(ラポール、インテーク)

普段から(医療・福祉)基礎学習をしている方であれば満点しか取れない内容です。ひっかけ問題も特になく。

今回の学習対象外とした教養試験が、全20問中5問が著作権の関係で前半マスクされているものの、こちらはよくある公務員採用試験なので割愛します。

■学習で気になったところ

11. 人口動態統計

日頃から統計の目的と値の算出方法を理解していれば、迷うことなく解けるのですが

出生率

人口千人あたりの、1 年間での出生数を示す。 

(粗)死亡率

通常、人口 10 万人あたりの 1 年間の死亡数を示す。 

標準化死亡比(SMR)

対象人口の粗死亡率が期待死亡率よりどのくらい大きいのか小さいのかを示す。 

乳児死亡率

出生 1,000人に対する乳児(生後 1 年未満)の死亡数を示す。

この4つの統計目的を知らなくても説明書きがあるので解けるはず。だけど、知っておこうよ。
クライエントへそれらの統計値を直接説明する機会は無いとしても、理解して知っておかないと、「何故、各種制度があるのか?」を説明できないというドツボにハマってしまいます。

折角なので、SMR は何の略語なのか見てみましょう。
→ Standardized Mortality Ratio の頭文字。

さて、次回の試験で SMR は出題されなくとも類似があるのではないか?
と考えますよね。受験者や出題ウォッチャーならw

SMR について厚労省のホームページを参照しましょう。
→ http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/rouken/tdfk-d2/smr.html

*標準化死亡比(standardized mortality ratio:SMR)

 

(1)資  料

平成8年から平成12年までの5年間の人口動態統計(年報 厚生省大臣官房統計情報部)の 死亡数及び平成2年、平成7年の国勢調査人口を用いた。

(2)標準化死亡比(SMR)の計算方法

SMR=


―――
Σpidi

× 100

D :当該自治体死亡数(平成8年~平成12年の和)

pi:当該自治体5歳階級別人口
(平成2年、平成7年の人口から平成8年~平成12年の和を推計)

di:基準死亡率=

全国5歳階級死亡数
(平成8年~平成12年の和)
――――――――――――――――――――――
全国5歳階級別人口
(平成2年、平成7年の人口から平成8年~平成12年の和を推計)

*標準化死亡比は、基準死亡率(di)を当該自治体5歳階級別人口(pi)に乗じて総和したものを期待死亡数(Σpidi)として、 それに対する当該自治体死亡数(D)との比で表している。

SMR=

実際の死亡数
――――――
期待死亡数

× 100

(3)標準化死亡比について

死亡率は通常年齢によって大きな違いがあることから、異なった年齢構成を、 持つ地域別の死亡率を、そのまま比較することはできない。比較を可能にするためには 標準的な年齢構成に合わせて、地域別の年齢階級別の死亡率を算出して比較する必要がある。

標準化死亡比は、基準死亡率(人口10万対の死亡数)を対象地域に当てはめた場合に、 計算により求められる期待される死亡数と実際に観察された死亡数とを比較するものである。 我が国の平均を100としており、標準化死亡比が100以上の場合は我が国の平均より死亡率 が多いと判断され、100以下の場合は死亡率が低いと判断される。

標準化死亡比は、基準死亡率と対象地域の人口を用いれば簡単に計算できるので地域別の比較に よく用いられる。

(参考)

 

A県        死亡率:23.6(人口千対)  SMR:111.3
*標準化死亡比(SMR)の計算
年齢階級人口構成死亡期待数実際の死亡数SMR
0-141,250 (14.2%)28 (12.50* 2.2)
15-646,224 (70.8%)5,695 (62.24* 91.5)
65-1,315 (15.0%)12,888 (13.15*980.1)
8,78918,61120,716111.3
※ 基準死亡率が10万対となっているので、人口も10万単位として計算
B県        死亡率:25.5(人口千対)  SMR:96.6
*標準化死亡比(SMR)の計算
年齢階級人口構成死亡期待数実際の死亡数SMR
0-14157 (14.0%)3 (1.57* 2.2)
15-64731 (65.2%)669 (7.31* 91.5)
65-233 (20.8%)2,284 (2.33*980.1)
1,1212,9562,85696.6
※ 基準死亡率が10万対となっているので、人口も10万単位として計算
基準死亡率
年齢階級(人口10万対)
0-142.2
15-6491.5
65-980.1

(4) 基準死亡率

 

基準死亡率は以下の通りである
死因名人口10万対死亡率(全国:平成8年~平成12年)
脳血管疾患106.3112.5
心疾患115.7113.3
糖尿病 10.5  9.6
胃がん 52.9 27.7
肺がん 60.1 21.6
大腸がん 30.8 23.9
肝がん 38.2 15.4
子宮がん   -  7.9
乳がん   - 13.4
前立腺がん 10.9   -
肺炎 71.5 59.4

 

と、そのまま厚労省のホームページから、そのまま引用しました。自習用です。
そのまま引用したのは、「標準化死亡比は、基準死亡率と対象地域の人口を用いれば簡単に計算できるので地域別の比較によく用いられる」という説明書きがあり、その概要理解のためです。

そこで、「基準死亡率と対象地域の人口」と、今回の東京都保健師採用試験に出題された「期待死亡率」とは、どんな関係性があるのだろうか?と考えることで学習になると思います。あまり拗らせて深入りすると、脱線してしまうのでここまで。

補足:東京都1類B[一般方式]採用試験は、22歳~29歳で、試験区分(職種)によっては必要な資格・免許を持っている方を対象とした採用試験です。30歳以降に、この分野に目覚めた方は受験できませんが出題内容は最新の情勢を反映しているので、学習参考資料として最適と思います。

以上

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投稿者 斉藤之雄 (Yukio Saito)

Global Information and Communication Technology OTAKU / Sports volunteer / Social Services / Master of Technology in Innovation for Design and Engineering, AIIT / BA, Social Welfare, NFU / twitter@yukio_saitoh