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講師:日本大学 商学部 樋口教授

■広告と時代意識

①終戦〜1950年代
<時代相>復興から成長への離陸期。新しい生活へ向けての理想の時代。絶対的物不足。
<生活>モノを中心にした生活の再構築=手段的消費。アメリカンライフへの憧れ。
<広告>アメリカンライフを目指し生活の再構築に向かう人々をバックアップ。そのための商品を知らせる。広告は生活のモノ情報。

②1960年代
<時代相>「所得倍増計画(60年)」を期に高度経済成長の時代に入る。飛躍・外部指向、夢の時代。オリンピック、モータリゼーション、スーパーマーケット、郊外化。相対的物不足。
<生活>アメリカンウェイ・オブ・ライフ=生活の向上、郊外生活、核家族。消費=生活の時代。
<広告>広告は”欲しがらせること”、”買わせること”。イメージ広告

③1970年代
<時代相>「総中流意識」と石油ショックによる不確実性と混迷の調整期。内向き志向。女性の自立(パルコのディスプレイ水着広告)、女性の社会進出。ドルショック、大阪万博、東京国際空港、カタログ消費。
<生活>不透明の中で生活の新たな方向と質的充足を満たす。NOW志向(ナウい)
<広告>広告は”元気づけ、励ます”こと。生活提案、美しさの演出。社会性広告。

④1980年代(特に後半のバブル期)
<時代相>安定成長からバブルへ。分集・少集、多様価値化社会(価値の多様化・動態化・多重化)、ベルリンの壁崩壊、民営化。心の豊かさ(この言葉は1979年、浸透は1980年代)
<生活>感性消費・差異化消費。意味・記号消費。モノ離れ、トレンディ指向(マーケティング研究活性)。
<広告>広告は”楽しさ・面白さ”を演出、共感の形成を目指す。(面白くなければテレビじゃない by CX)

⑤1990年代
<時代相>バブル崩壊・複合不況。リストラ、価格崩壊、規制緩和、東西冷戦終結、環境問題、情報通信の進展。共有していた価値観の喪失、環境問題の兆し(チェルノブイリ事故後の話題)
<生活>景気低迷の中で自分流ライフスタイルを追求し、新たな方向を模索。身の丈サイズ、生活価値志向、知覚価値・消費。
<広告>広告は”やさしさ”、”かしこさ”を基調として環境に向かう。

⑥2000年代
<時代相>不況と改革(2001年小泉内閣)の中で、さまざまな社会問題に不安を感じ改革に夢を託す。不透明と不安に揺れる。
<生活>貯蓄も消費もダメ、生活の防衛の方向が見出せず働きが取れない生活者。消費は生活価値の吟味から → 生活価値コンシャス。
<広告>広告は未来の夢に向かう一方、イメージより実質重視の方向。模索か?

2010年代
広告は、時代が広告を生むのか、広告が時代を作るのか?
東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)影響、ネットとレガシ媒体とマーケティングミクスの集約化?

■広告と社会の連接構造:戦後のわが国のマーケティング構図

1.環境世界(価値・質・感情・客観的相関物) におけるマーケティング・リサーチは予め与えられた出題の結合結果でしかない。・・・ (コンテクス:文脈)としての結合結果。

↓新しい生活様式(欠乏感) | ↑記号(環境化)

2.企業世界(環境世界のビジネス化)

3.広告 − 欲望 → 購入・消費 → ライフスタイルの変化

4.素地 − 生活変化(環境世界の生活科) → 1へ戻る(記号環境化として)

■広告機能の全体
– チャールス・Y・ヤン 1973年「広告の存在理由」より

マクロ機能 − 広告目的・市場領域 − ミクロ機能

マクロ機能
経済領域:経済波及効果(マイナス面では産業集中)
文化領域:サブカルチャー形成(マイナス面では情報過多と価値の流動化)

広告目的:購買意欲の喚起
→広告目的は広告の<伝達・説得・意味づけ・対話>の4つの機能を通して自社ブランドへの購買意欲を喚起すること。

市場領域:欲望・必要性創出の効果 → 新市場形成を支援

ミクロ機能
経済領域:売上効果(マイナス面では寡占状態による価格の下方硬直性)
生活領域:ライフスタイル創出(マイナス面では価値の流動化による消費・生活の主体性の喪失、浪費)

■広告機能の2つの側面と3つの機能

広告機能には「効果と影響」の2つの側面がある。
・効果は送り手の意図又は目標指向性である。
・影響は受け手にとっての意味のある変化を指す。

それに3つの機能が考えられる。
1.顕在的(意図した機能)−潜在的(意図しない機能)
2.順機能(寄与的)−逆機能(非寄与的)
3.没機能(正でも負でもない)

潜在的機能 (タレント、CMソング、コピーなどの偶発的ヒット)、(環境問題、偽装広告)

順機能・逆機能

顕在的機能 (広告は送り手の狙い通り)、(考えられない)

■広告のマーケティング機能(ミクロ)

1.受容創造効果
2.マインド・シェアの形成(関係性)
3.流通費合理化効果 → コスト削減
4.受容創出効果 → 価格低下

以上

 

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投稿者 斉藤之雄 (Yukio Saito)

Global Information and Communication Technology OTAKU / Sports volunteer / Social Services / Master of Technology in Innovation for Design and Engineering, AIIT / BA, Social Welfare, NFU / twitter@yukio_saitoh