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[IoT] SORACOM GPSマルチユニットを使ってみた(測位に焦点)。

0.京セラ GPSマルチユニットの取扱説明書 バッテリー内蔵タイプ LU1CM013

https://www.kyocera.co.jp/prdct/telecom/office/iot/development/download/index.html (モデム利用のための USB デバイスドライバも同ページからダウンロード入手可能)

ただし、LU1CM013 のデータ可視化は KCCS モバイルエンジニアリングの miotinc (ミオティンク)が標準エンドポイントに設定されています。SORACOM 版は SORACOM Harvest, SORACOM Lagoon に設定されている違いがあります。SORACOM 版で エンドポイント先を変更したいときは、SORACOM Beamを用いてください。

これは標準版カタログから抜粋。SORACOM版は若干の機能制限あり。

1.自費利用なので、あれこれ激しいトラヒックは吹きません。

お仕事は「わくわく、楽しい」企業で汗水を流していますが、技術および営業スキル向上目的に SIM を出してくれることはありません。SIM (eSIM含め)は売り物。そうなると、キャリア問わず自費負担で吹くしかありません。

電波を吹く=電波発射と同じ意です。通信キャリアの中の人が、そう言ってるのを最初耳にした時は疑いました。この方、口から何を吹いているのだろうか?と。移動機も基地局も「電波を吹く」。それは、二次元で可視化するツールで視ると【電波は吹くもの】と理解できますが、最初の頃は大きな戸惑いがあったのは事実。

さておき、SORACOM User Console / SIM 管理画面です。

plan-D が今回の対象です。plan-KM1 は別途契約しているので、バランスが取れてていいと思います。

2. SORACOM ガジェット管理 / GPSマルチユニットのデータ管理画面

測位誤差を含む場所がプロットされています。この測位時間に、そんな場所を歩いていたら GAT エレベータ渋滞で【ガチ遅刻】です。実際は GAT 某フロアの自席でドコモ波を吹いていました。
ちなみに、測位誤差は二次元で120mほどです。測位誤差は後述します。

3. 搭載通信モジュール KYW01

特に業務と関りが深い 通信モジュールについて、個人 blog でどのように扱うかは【一般情報に留める】しかありません。LPWA 技術 blog だと思って来られた方には消化不良となることを最初にお伝えいたします。

たまに勘違いされますが、通信モジュールだけでは通信できません。通信モジュールは電子部品です。 155 pad LGA フットプリント面の基盤実装(ボンディング)が必要です。また、RF を扱うので変換ケーブル、アンテナは技適取得済みのものをお使いください。ケーブルも輻射要素なので、ネットワークアナライザやスペクトラムアナライザを用いるテストサイト(電波暗室)利用などは、裏付けされた技術経験を豊富にもつ通信事業者の営業やパートナー企業へご相談ください。IoT はソフトウェア+ハードウェアから構成される ICT総合格闘技です。

disる目的はありませんが、IoTエンジニアなら、ソフトもハードも、ネットワークもプログラミングにも長けており、フルスタックエンジニアでIoTビジネスモデルを実現し得るテックリードができる方を普通は意味します。

なお、KYW01 価格や提供条件については KDDI か京セラへお問い合わせください。当個人blogでは一切関知いたしません。

■京セラ製 KYW01 通信モジュールについて

https://www.kddi.com/business/mobile/m2m-solution/iot-lpwa/product/kyw01/ より引用。

KDDIと通信モジュールメーカーが共同で開発し高機能を特徴とした通信モジュールです。
位置測位機能 (GPS/GLONASS) やKDDI IoTクラウド デバイス管理など、さまざまな機能を搭載しながらも、独自のセラミック基板技術により一定の耐久度を保ちながら約20 x 20 x 3.7mmのサイズを実現しました。

※ KYW01の販売は100台単位となります。(MOQ 100)

サイズ約20 (W) x 20 (H) x 3.7 (T) [mm]
重量約3.1g
通信方式LTE-M
通信速度 (注1)下り: 最大300kbps
上り: 最大375kbps
動作保証温度-30℃~ + 70℃
外部インターフェース155 pad LGA
制御インターフェースUART x 2
アンテナコネクタなし (LGA Pinに内包)必要アンテナは1本
消費電流 PSMスリープ時 23uA (注2)
消費電流 eDRXスリープ時0.9mA (注2)
消費電流 待受け時1.7mA (注3)
消費電流 最大送信出力時196mA (注4)
対応機能データ通信機能
SMS送受信機能
位置測位機能 (GPS/GLONASS)
PSM
eDRX
カバレッジ拡張
KDDI IoTクラウド デバイス管理 など
  • 注1)ベストエフォート型サービスです。エリア内であっても、お客さまのご利用環境、回線の状況などにより低下する場合があります。サービスエリア内でも、電波状態の悪い場合では、データ通信ができないことがあります。
  • 注2)室温25℃、電源電圧3.65V、圏内時の平均値です。通信モジュール個体により前後する場合があります。
  • 注3)室温25℃、電源電圧3.65V、UART省電力制御、圏内時の平均値です。通信モジュール個体により前後する場合があります。
  • 注4)室温25℃、電源電圧3.65V、送信出力最大でデータ送受信する時の平均値です。通信モジュール個体により前後する場合があります。

4.SORACOM Lagoon (ラグーン)ダッシュボード表示

はよ寝ろ!な時間だが、3連休なので。
さて、ダッシュボードはよくあるドラッグ&ドロップで必要なパラメタを指定するだけのノンコーディング仕様です。

5.GPS測位誤差について

“GPS/GLONASS/みちびき” が位置情報として利用できる人工衛星なのに、測位誤差がどうして出るのか?ということについて。

ここでは、一般的な測位について説明します。
GPS(アメリカ)、GLONASS(ロシア)、BeiDou(中国)、Galileo(欧州)、QZSS(日本)、みちびき(日本)はそれぞれ人工衛星が複数機運用されています。GPS衛星は信号コード NMEA フォーマットで電文を地球へ発射し、真空中は秒速30万km 【大気中は 299,792,458(覚え方:憎くなく似よ子や)m/秒 】の速さでGPS受信機に到達します。

信号コードにはタイムスタンプが含まれており、GPSレシーバが持つ内部時間の差を計算することで測位距離が判明します。実際には、L1 波しか受信できない通信モジュールのオマケ程度のGPSレシーバと超小型受信アンテナでは、信号コードを収束する処理に時間を要するため誤差が出てしまいます。

なお、GPS NMEA (エヌメア)フォーマットは標準化されているため、OSS で気軽に利用できるライブラリ(関数)も多くあり、パソコンの開発言語練習で Hello World の次に練習するエンコード、デコード程度の理解がある方なら誰でも簡単に扱えます。

しかし、自動車のGPSカーナビでも申し訳程度のソフトウェア処理をしているので、ちょっと古いカーナビだと、高速道路本線を走行しているはずなのに、一般道の曲がり角が表示されたりと散々だった経験をお持ちではないでしょうか。カーナビのGPS誤差は 10mから50m以内です。最近のちょっとお値段が高いカーナビで10m以内かな。今はカーナビ+ドラレコの時代ですから、益々測位性能が重要になってくると思います。

GPS測位性能を高めるには、通信モジュールオマケ程度の測位演算ではなく、L1 (L1C)波 + L2波の両波を受信できる高感度アンテナを屋外で使用し、衛星クリアランスが保たれる環境で、且つ測位専用演算エンジンを高速処理することで「ようやくサブメートル級」の測位が実現します。そこまでのレベルを安価なセルラー通信モジュールに期待するのは【明確に間違っています】

6. 通信モジュール+アルファで測位性能を高めたい

通信モジュール+アルファで高精度GPS測位を実現する事例は実際には幾つも存在します。代表的なアルファ要素を4点挙げます。それぞれの方法はググって図書館へ行くか、専門家にご確認ください。

1.通信セルラー基地局を使用する A-GPS / アシステッド GPS
2.超高感度 GNSS エンジンと高感度アンテナをサブ機能に実装
3.WiFi測位(測位サーバとインターネット通信が必要)
4. Andorid OS 高機能マイコンを搭載した通信モジュールを利用し Google Maps Platform API と OS Native にインターネット通信するなど。

7.SORACOM GPSマルチユニットで測位性能を上げたい

SORACOM 料金プランに則れば「通信費用は青天井」なので、そんなのにビビる必要がなければ、次のように1分ごとに電波を吹いてください。しかし、SORACOM版GPSマルチユニットに外部GPSアンテナ接線がないので、基本的に屋外での使用のみ。屋外は屋外でも、空へ目掛けて30度以上のクリアランス確保で。

8.まとめ

セルラーIoTをGPS測位などで今すぐに可能性確認など手軽に使ってみたい方には最適だと思います。しかし、GPSトラッカーなどの用途でお使いになりたい事業企画者は SORACOM版のGPSマルチユニットではなく、標準版のGPSマルチユニットで KCCS miotinc カスタマイズを検討するか、よくあるセルラー通信モジュール+外部GPS演算モジュール+アプリサーバを開発することを検討したほうが良いと思います。

また、NMEA値を処理して Google Maps Platform 表示すれば簡単にGPSトラッカーを用いるサービス事業者になれるわ!と仰る方は、ビジネス・フィージビリティスタディが浅いでしょう。Google Maps Platform はコール数課金です。YOLPはまもなくサービス提供終了ですし。

通信事業者による PoC (ポック言うな)を利用する場合は、通信事業者がどれだけ親身に向き合えるかが、事業成功のカギを握ると思います。

いろいろ書きましたが、スマホやガラケー(ガラホ)を持ち込めない、インターネット回線がない環境での測位は、セルラーIoTによるGPS測位が一番の解決策です。BLE/WiFi測位の場合は別途、それらのインターネット回線とのアクセスチャネルが必要となります。ゲートウエイで子機を多数収容し、セルラーへ繋げる方法もありますが、測位ビジネスをするために【ゲートウェイ開発事業】も必要になるのは本末転倒ですが、そこがビジネスの醍醐味だと思います。

以上、ご覧いただき有難うございました。

斉藤之雄 (Yukio Saito): Global Information and Communication Technology OTAKU / Sports volunteer / Social Services / Master of Technology in Innovation for Design and Engineering, AIIT / BA, Social Welfare, NFU / twitter@yukio_saitoh

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